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向かいのお兄さん

第48章 君が初めて




あたしは机の縁を、指でなぞった



『その子のこと…好き?』




過去の直也だとしても


夢の中の直也だとしても…






聞いてみたくなる







「…別に」




『え?』





あたしが直也の顔を見ると、直也は視線を逸らした






「そんなに、好きじゃない」





『…付き合ってるんじゃないの?』





「…相手がしつこいから」






ちょっと



嬉しかった







『へぇ…』




あたしは机に腰掛けた




表面は冷たくて、お尻がひんやりとする





「…だからあんた、帰んないの?」




『…わかんない』





「…」





夢なら

覚めればいい




でも仮に


本当に過去に来ちゃったなら




…なんて


考えると




自分が一体何をすべきかなんてのは

わからなくなる







「帰れって」






あたしは首を横に降る






直也は呆れた顔をして


教室を出ていこうとした







『行かないでよ…』






あたしがそう答えると


直也はこっちを振り向いた










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