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向かいのお兄さん

第48章 君が初めて




「何で」




『行かないで…ほしいから』





今、直也がここを出ていったら



あたし


ひとりになっちゃう…





この教室や

この学校だけじゃなくて


この世界に

ひとりぼっちになってしまう気がして、ならない…





「…」





直也は足を戻して


あたしと向かい合うようにして

机に座った






『…ごめん』




「窓からなら、いくらでも出られるし」





あたしが誰なのか



どこから来たのか



何しに来たのか





何も聞かずに


そばにいてくれた










『…やっぱ…優しぃ』




「誰が」




『直也が』





あたしは直也のこと

よく知ってる



でもこの時の直也は

あたしを知らない





『…』




「…」




『…帰りたい』




「帰れば?」




『帰り方…わかんない』





あたしは頭を垂れた


この現状…


認めちゃっていいのかな…?










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