
向かいのお兄さん
第48章 君が初めて
「電車とか、乗れないわけ?」
『乗れる』
「じゃあ帰れるじゃん」
『帰れないの…』
絶対あたし…
直也に迷惑かけてる
チラチラと直也の顔を見ると
直也は眉を寄せた
「あんた、俺のこと知ってんの?」
『…うん。
多分』
「…」
理由は聞いてこなかった
だからあたしから
直也に言った
『いっぱい知ってる。
直也のこと…』
「…」
あたしは立ち上がると
直也のすぐ前まで歩み寄った
足と足が触れ合うと
直也は緊張したように、少しだけ肩を強張らせた
普段見せない反応が新鮮で
ついついほほ笑んでしまう
『直也のキスね、大好き…///』
直也は口をポカンと開けたままだ
『あたしは直也が…1番好きなんだよ?///』
言いたいこと
言っちゃえ
「待てって…会って早々、意味わかんね…―――」
あたしは腰を屈めて
直也にキス
した
