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向かいのお兄さん

第53章 崩れ








『…』







その街灯に照らされた直也の顔は


笑ってはくれなかった








『直也…?』






受け入れたくなかった




受け止めたくなかった






直也が言った言葉を




信じたくなかった











『直也、あのね…』







直也は顔をよそ向けて



その次に体をよそ向けて





あたしから離れるように



足を進めた














『直也…、聞いて、今日は…』



「しゃべんじゃねぇよ!!」









本当は



空中を払って




あたしを退けようとしたのかな…






直也が払った手は



あたしの手に当たって





あたしが持っていた袋は





落ちた












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