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向かいのお兄さん

第53章 崩れ




バサッと音を立てて落ちたお菓子



拾い上げることも


しゃがみ込むことも



手を下ろすことさえも出来ないくらい




何も 動けなかった









「言ったじゃん…」







直也


怒ってる






「あいつとは会わないでって…言ったのに…」





目は




泣いてる







「もう何信じたらいいのか…わかんねーんだよ!!!」






夜の静かな街に



直也の声が響き渡った







息を荒げたまま



直也は離れていった







『…』







何も


言い返せないよ







何を言っても



ただの言い訳になっちゃいそうで






もう…




何も…

















雪じゃなくて






雨が降ってきた







ちょっと温かいからかな…








雪じゃなくて





雨が降ってきてくれて



良かった














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