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願わくば、いつまでもこのままで

第2章 はじまり


だけど

俺は比奈ちゃんだけは




兄貴に渡したくなかったんだ



今年の1月、独り暮らしの俺の元へ1通の手紙が届いた。

それは兄貴からの手紙。

「え!?兄貴が……結婚!??」

中身は結婚式招待状だった。

「えーと……この度、泉和斗と神崎比奈は結婚することとなりました。つきましては……」

一通り読み終えて俺は招待状から顔を上げた。

兄貴が……結婚……でも、この神崎比奈って誰だ?

「PLLLL……PLLLL……ピッ」

出ないな、兄貴……。


それから何回か結婚式の日まで電話してみたものの兄貴は一度も出てこなかった。




そして、結婚式当日。


式場は人のざわめきで溢れてたが、やがて静かになり、兄貴が入場した。

席と席の真ん中を歩く兄貴は1番前に座る俺を見つけると、ニッと笑った。


「それでは花嫁の登場です」

後ろで扉の開く大きな音がした。

静寂

俺はただ前を向いたままでいた。


やがて花嫁は兄貴が立つ1番前まで歩いてきた。

顔を見たかったけど、ベールのせいで残念ながらあまりよく見えなかった。


だけど後ろ姿はドレスのおかげか、とても綺麗で

柔らかい雰囲気を少し感じた。

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