
願わくば、いつまでもこのままで
第9章 とまれない、とまらない
今日私がここに来た理由は確かめるため
自分を信じて
但し
その結果が意志に反するものだった場合
この行為は
とても残酷なものになってしまう
本当は確かめていいものじゃない
自分の夫への愛を信じてるならそれでいいのに、私は欲求に負けてしまった
白黒はっきりつけたいと
私は
妻失格だ
「__これが普通なんだよ__」
陽君の言うとおり
だけど私はそれをとても残念がっている
何故?
会える口実を失ってしまったから?
陽君が手を伸ばす。
その手は私の頭をクシャクシャっと撫でた。
だけど私はそれを跳ね除ける。
火照る頬を冷まそうと
手を当てて。
そんな私を見て彼はきょとんとした顔をする。
恨めしい
鈍感な男だな
陽君は
そういうところは凄く
和君に
似てる
最愛のはずの夫の笑顔が脳裏に蘇る。
ごめんなさい
ああ
本当に
感情は素直なものだから
誤魔化せなくて
消せなくて
目の前にある笑顔を
今私は確かに
愛しいと
感じている
