テキストサイズ

願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人




和君の手術は


あの後、無事に成功した。




長時間の手術




和君はそれでも意識を取り戻したのは

2日後のことだった。




今日で事故から5日目になる。








「そういえば…… 陽はどうした」






ふいに出てきた言葉。



和君はぎこちない動きで
ベッドの上で首をまわし

私を見る。






なにを考えているのだろうか



どういう意味だろうか





言葉もつまり
目を逸らすこともできない私は

ただ黙っていた。







「比奈」と彼が呼ぶ。






「……大学忙しいのかな
あいつはいつ来るんだ、ここに」



「そう、ね。本当に。
上司の方や同僚の方は
先日いらしてくれて……
そういえば
私今日林檎持ってきたから……
お腹すいてるでしょ
ちょっと待っててね」





椅子から立ち上がり

棚に置いてた林檎を持って
洗面台へ行く。



果物ナイフを操りながら

林檎を切っていく。









私の心はずっと震えていた




ドキドキしていた


こわかった




和君に何かいわれるんじゃないかと


そんなことないのに

びくびくしていた





ストーリーメニュー

TOPTOPへ