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願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人





切った林檎をお皿に乗せて持っていく。



いっしょに持ったフォークは1つだけ。

和君の手首はどちらもテーピングされている。




「比奈」



「はい。和君」



フォークに刺した一切れの林檎を和君の口元へ……



「あー……ん」



うさぎの耳のように切られた皮をよけて実をパクリと一口



飲み込むと次をねだるように

フォークに刺さった食べかけの林檎を見つめながら
彼は大きく口を開けた。



「ふふっ」


手を動かしながら
つい笑ってしまう。


林檎を挟んで怪訝な顔が見える。



「……なんだよ」


「別に。なんでもないです」



可愛い

なんて言葉は私の心にとどめておこう


そんなこと言うと
和君は拗ねてしまうから



「ふふっ」



怪訝な顔で私をじろりと見てから

彼は目の前の林檎をまた一口食べた。


もちろん皮をよけながら。



仕方ないから

飛び出た皮を私が食べる。



……うん


皮だって美味しいんだから







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