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願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人






しばしの間

その鋭い視線が和斗に向けられる。




だが彼は気にもしない様子で平然と弟に声をかけた。







「いつまでそんなところに立っているんだ。さっさと入ってドア閉めろ」



陽はじっと和斗を見る。

探るように
じっくりと



だが和斗が顎で

さっさとしろ
とでも言うようにドアをさすものだから


とりあえず

中へ入った。





目を泳がせ

恐る恐るベッドに近づく。


おびえているかのように




「何をそんなにビクビクしているんだよ」


その動きに
和斗がふっと笑いをもらす。


「……あんたがそれを言うかよ」



そう言って陽はポケットから携帯を取り出した。


しばらくすると

留守番電話サービスの音声が流れ始める。




やがて


兄、泉和斗の声がきこえてくた。




『――もしもし、和斗です
 俺が今入院しているのは
 知っているよな?
 なんで
 一度も会いに来ないんだよ、陽
 というか、来い
 別に見舞いに来ないから
 寂しいとか
 そういうわけじゃないぞ
 俺だって大の大人だしな
 ……お前に話がある
 だから、来いよ?
 来なかったら
 お前にするはずだった話は
 比奈とすることにした
 じゃあな――』







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