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願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人







和斗は深い息をついた。




ベッドの上で枕をクッション代わりに
上半身を起こしているが

枕から身体を離すと

背筋を伸ばし

いっそうまっすぐに陽を見つめる。




陽はその視線に縛られ

身体を強張らせたまま

いろんな色が重なり濁る瞳が

ベッドの上に固定される。




「…あいつとは
どこまで進んだんだ?」



だが

予想外の兄の言葉に
陽は目を見開いた。




口を開くものの

なかなか声が出ない。




何か言いたげに

何度も開いた口を動かした。




やっとのことで

声が絞るように出される。





「え、あ… っと、
よく意味がわからないんだけど」




混乱を露わにする陽に
和斗は眉をひそめる。




「…は?
意味がわからないって言葉の意味がわからないんだが」




「えーっと
いや、その、
遊園地とプールは一緒に行って
手も繋いだことがある…けど、
進むも何も……これは俺の片想いだ」




自分で言ってて悲しくなった陽は

その表情を沈める。















「……は?」






まるで「は」の音1つが

罵声のように

小さな病室に響いた。





「え…」




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