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願わくば、いつまでもこのままで

第11章 邪魔者が一人





言葉が出なかった。








「はっ……はっ……」






「っ……」














――……





「は?って、なんだよ
 意味が、わかんないんだけど…」



恐る恐る兄に問いかける陽。




だが眉一つ動かず

目を丸くして驚いていた兄は


突然




血走るような眼

眉を寄せ

下唇を噛み


今にも泣きそうな
苦しそうな
痛みに耐えるような
憎むような


その和斗の表情を


陽は



きれいだと思った









……それも束の間に



「…ふざ、けるなよ……!!」


「えっ、あに――」


陽の声がかき消されるように


ガシャン

と点滴が倒れる。



和斗が

立ち上がった。



針を無理に引き抜くと

まだギブスを巻いた腕を下げながら

陽を突き飛ばす。



よろめきながらも
立っていた陽だが

2度突き飛ばされたことで

床に倒れ

いつのまにか上には
兄が馬乗りになっていた。








「あに、き」


「……ふざけるなよっ」



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