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願わくば、いつまでもこのままで

第3章 抽選


「クククッ…」



午後、大学からの帰り道。


また園田は歩きながら腹を抱えて笑っていた。

「あー、もう煩い園田」

「だって、泉お前が…クククッ」


そう、俺が園田に起こしてもらった後のこと。

走って走ってそれでも遅れた授業
その教室に俺は豪快に走りこんだ。

それはもう足音大きくバタバタと。

その音で何人かの学生や先生が振り返ったが
俺は気にせず席についた。


そして、さあ授業を受けようと俺は教材を取り出そうとした。



……あれ?ない?

何がないって筆記用具、教材を入れた俺の鞄。

あれ?おっかしいなぁ……


そう思って俺は自分の周りを探したが鞄はない。

そういえば俺は教室に来るまでの間鞄を持ってた記憶がない。

ってことは鞄があるのは……あのベンチ!!


俺はまた走りに走ってあのベンチまで戻り
鞄を拾って
走りに走って今度こそ教室に行き授業を受けた。



「いやぁあの時の泉といったら……ハハハハッ」

「だから煩いっての園田」

園田は大学を出てからこの思い出し笑いを何回も繰り返していた。

「もうそろそろやめてあげな、園田」


そう言ったのは今俺の隣の園田の隣を歩く梶木だった。

梶木は俺の大学での男友達
眼鏡をかけた知性的ないい奴だ。


「あんまり陽虐めてばっかりいないでさ」

「わーかったわよ、梶木」

「え、これ虐めだったの?」


園田と梶木、俺は大学でこの2人と行動を共にしていた。

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