
願わくば、いつまでもこのままで
第3章 抽選
俺がバイクを
梶木が自転車をひきながら
3人で変える時は
大学から駅まで
いつも活気のある商店街を通っていた。
もちろん、今日も。
やっと園田が思い出し笑いをやめて
3人で喋りながら歩いていた。
「ん?何あれ」
ふいに園田がそう言って
俺と梶木は園田の視線を追った。
そこにあったのは
テーブルの上に赤い多角形の箱に取っ手がついた物が置かれ
赤いはっぴを着たおじさんが金のベルを持っていた。
おじさんの後ろには1等2等……と書かれた紙が貼ってある。
いわゆる……
「抽選、だね」
と梶木が言った。
抽選、ねぇ……
テーブルには赤い文字で大きく「無料!!」と書けられた紙が貼ってある。
にしては、あまり人は並んでいなかった。
「やろやろ!」
園田はのり気でそう言ったが
俺には面倒なだけ、正直嫌だ。
「面倒くさい、帰ろかえ…「ちょっと2人共早く!」
見ると園田はすでに抽選の列に並んでいた。
……な、に、が、早くだこいつ!!
俺の言葉には聞く耳持たないってか!!!
俺が声に出せない怒りで園田を睨む拳を握っていると
横から梶木が哀れむ表情で俺の肩にポンと手を置き首を振った。
「はぁ…」
あんな自己中心的な女がなんで大学で人気があるのか
俺には理解できないな……。
