テキストサイズ

願わくば、いつまでもこのままで

第8章 変化






翌日、大学内の廊下


「泉陽くん!好きです、付き合ってっ」


いきなり目の前に現れた佐倉田は昨日と同じように俺に言った。


正直面食らって声がしどろもどろに出る。


「えっと……?
あの、昨日俺……断らなかったっけ……」


「そーだよ、断ったよ……」


……この私を

そう言ったときの佐倉田を見たとき、背筋が凍ったのを憶えている。



「私ね、まだ諦めていないんだ
だから覚悟しといてねっ陽くん」


俺の胸板にわざと自分の胸を押し付けるようにして佐倉田はにこっと笑った。


可愛いとは思わないけど

胸が……


なんて思っていたら隣にいる園田にどつかれた。







それからの佐倉田は
鬱陶しいといったらありゃしない。

毎日毎日告白してきて毎日毎日断る俺。


それも決まって公衆の面前で。


諦めの悪さには感心してしまいそうな程。

俺はそのせいで毎日ぐったりと疲れる羽目にもなった。






その頃からだ。



帰るとき


何時だって
背中に気配を感じるようになったのは


でも振り返っても誰もいないのは当たり前で、足音は聴こえる日もあれば……



終いには

パソコンで作られたような手書きではない印刷文字の手紙が
毎日ポストに届いているようになった。

宛名はなく

内容も、ただ一言<好きです>





ストーリーメニュー

TOPTOPへ