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願わくば、いつまでもこのままで

第8章 変化






まさかとは思った


だって俺男だし……


でも、明らかだった








ストーカー








男だからって、怖くないわけがない


ダメージは

日に日に加算されてゆく






寝不足の俺はぐったりと講義中寝ていた。


「……う。おい、陽!起きろ!」


「ん…う……」



ゆっくり顔をあげると梶木と園田がいた。


「あー……悪いな、起こしてもらって」


「別にそれはいいよ。
それよりお前大丈夫か?」


教室を出ると
飯を食べに食堂へ向かう。


「大丈夫って……何が?」


とぼける俺に園田が少し険しい表情をした。


「何がって、あんた最近講義中爆睡してるでしょ」


「俺たちは、あの真面目な陽が講義中寝てるのはおかしいと思って心配してんだよ!」


「……ごめん」


「そうじゃなくって!
最近何かあったの?寝不足の理由は?
家じゃちゃんと眠れないわけ?」


「あー、えっと……」


話すべきか話さぬべきか迷っているうちに食堂に着き、俺が入ろうとする前に、またあの女が目の前に現れた。



「陽くんっこんにちは」



「……」



佐倉田弥生。これで何回目だろうか。

こいつの俺への告白はもはや大学内でも有名で、日常に溶け込まれている。



だが今日の佐倉田は告白する前に俺のひたいに手を当てた。


「なに…」


「陽くん熱でもあるのかと思ってね
顔色悪いよ?大丈夫??」



俺、そんなに酷いのか?

こいつにまで心配されて……


あー……ふらふらする

視界が……白…




俺は佐倉田の肩を強く掴んだ。


「えっえっ?陽くん??」


「ちょっと、泉!?」


「陽?」


「も……無理……」



そのまま俺は倒れこむように佐倉田に身体を預け、足の力が抜けて膝から崩れ落ちた。


「えっ……泉?」


「陽!陽!」


声が聴こえる。

目を閉じるとき、佐倉田の口角が少しだけあがっていたのを見た。



意識が、途切れた。







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