
願わくば、いつまでもこのままで
第8章 変化
______唇が重なった瞬間
ドンッ
「って!!」
佐倉田に突き飛ばされた俺は地面に尻をついた。
見上げた先には
少し赤面しながらも怒りに震える佐倉田……
……と、その奥にいた俺の愛しい人
「なんで………比奈ちゃん?」
「え?」
佐倉田も俺の視線を辿り振り返る。
比奈ちゃんは目を伏せ「はあ…」と息を吐き、目を開けた比奈ちゃんは呆れ顔を俺に向けた。
「ごめんなさい
いいところで邪魔してしまって……」
「え?」
「は?良いところだなんて、ありえない!!
私はもう帰るんで!!」
「佐倉田!?ちょっと待ってくれよ!」
佐倉田は俺の言葉を無視してアパートに駆け込み自分の部屋に帰った。
俺は比奈ちゃんに視線を戻すが
比奈ちゃんは俺など眼中にないように道路に佇んでいる。
気まずい……
とか思ってるのも俺だけなんだろうな
「はあ…」
「彼女、いたんだね」
「え」
比奈ちゃんは目線を変えないまま俺を見ずに言った。
「……さっきのあいつはただの知り合いであって、彼女じゃないよ」
「へえ……そうなんだ」
「何か勘違いしてない?」
「してないよ」
ああ、やっぱり……気まずい
俺は…どうすればいいんだ?
2人の間に沈黙が流れる中
1台のタクシーが比奈ちゃんの前にやって来て止まった。
