
あなたの為に背伸びして。
第1章 冷たくされるのは嫌い。
「ゆず、あんたね…」
「はい」
「…アタシが中身も男だったらどうすんの」
洗濯物の中から下着を引っ張り出しながら雅哉の方に首を捻ると、憎めない笑顔がこちらを見ている。
下着をつけ、今度はクローゼットの方へと歩み寄る。立ち上がった雅哉は私が脱ぎ捨てたスウェットを拾い上げて丁寧に畳んでいる。
「中身がオネェだから出来るんだって」
「バカ」
引き出しに手を突っ込んで答えると、軽く小突かれた。畳んだスウェットを整えたベッドに置いて、雅哉はまたこちらに来る。
「大事なとこ無防備じゃないんだから」
「ムダなとこしっかりしてるって?」
「悪い意味でね」
お気に入りの白黒ボーダーのロングTシャツを出した私の腕を雅哉が掴む。
ぐいっ。
片手であっさり引っ張られ、よろりとバランスを崩すとそのままベッドに倒された。
その上から雅哉が被さり、シャツを握った私の両手は頭上で雅哉の左手がしっかり押さえ付けられた。
いつ、犯されても文句が言えない体勢。
「一応、身体は男なのよ?」
身体をよじってみたり、両手を解こうとしたけどぴくりともしない。
そう、身体は男。だから、勝てっこない。そんなこと…会ったときからわかってた。
