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Yの記録

第2章 9月10日 誘い

世間は月曜日だけど無職の私には関係ない。
それよりも昨日飲みすぎで頭が痛い。

セデスを飲んだ。


昨日はエスプレッソマシーンが欲しくなってちょっと新宿の電気屋まで見に行った。
だけど電気屋で見てるうちにどうでも良くなって、なじみの洋食屋で夕飯を食べた。

その店に夜行ったことは今まで無かったのでなじみの店員こんな時間に珍しいといわれて、仕事をやめた話をすると

それじゃあ明日の予定が無ければ飲みに行こうと誘われたので行くことにした。

彼の仕事が終わるまで本屋で時間つぶして、待ち合わせの時間は9時だったけど彼が現れたのは9時半くらいだった。



特に嫌いなタイプでも無いし、時間は有り余ってるからOKしただけ。

待ち合わせ場所に来た彼はジーンズにスニーカー、ニット帽という、ありふれた格好だった。

「ごめん、引継ぎが長引いちゃった。」

そういって彼は笑って言った。

「何、読んでたの?」

私は見ていた写真誌を彼の目の高さに持っていく。

「・・・面白い?」

「別に・・・文字が少ないから」

私がそう答えると彼はちょっと答えに窮したように曖昧に笑った。

「それじゃ、店に行こうか。俺の知ってる店でいい?」

私は頷いて本を棚に戻した。

店は新宿では無く、新大久保のあたりにあった。

待ち合わせた場所からは20分くらい歩いた所。

かなり年季の入った雑居ビルの2階。通りには看板も出ていなかった。
汚いスチールのドアには  OPENSESAME と書かれたプレートが出ていた。

彼が私の方を振り向きながらドアを開けて中に招きいれる。

薄暗い照明、タバコで煙った空気、新宿にはまだある、アングラ風を狙ったような店だった。

二人がけのボックス席に通される。

「何 飲む? カクテルも結構あるよ。」

私はちょっとだけメニューを眺めてジンライムを頼んだ。

彼はメニューを見ないでゲッサーと言うオーストリアのビールを頼む。

お互いの頼んだものがテーブルに突き出しとともに置かれた。

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