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Yの記録

第2章 9月10日 誘い

「じゃあ、乾杯」

彼はそういってお互いのグラスを軽く合せた。

私も、彼もグラスの半分くらいまで飲んだところでグラスをテーブルに置く。

私は特に彼と話すことも無いので黙ったまま、バックからKOOLをとり出して火を点けた。

彼とはその後、お互い名前を名乗り年や今までの仕事の話など本当にどうでもいい話を一時間ほどした。

私はジンライムを3杯飲んだところでハイボールに変え、彼はスコッチをストレートで飲み始めた。

お互い酔いが軽く回って喋るのも億劫になってきた頃、彼が話し始めた。

ここでそのやり取りを思い出せるだけ、書いていこうと思う。

仮に私をY、彼をTとしておく。

Tが3杯目のスコッチを頼んだとき彼はチェイサーの水を飲みながら

「今日Yさんを誘ったのはね、意味があるんだ。もし今まだ、仕事が決まってないなら僕の仕事をちょっと手伝ってくれないかな」


「…どんな仕事?」
私はもともと、何か頼みごとをされるような予感がしていたのであまり驚かずに言った。

「うん、今は詳しくは言えないんだけどある女性たちを審査して僕らの望みどおりに指導して欲しい。
もちろん、高くは無いが報酬はある程度の額を用意できる。ただ、拘束時間が長くて指導する女性と生活を共にして完璧にして欲しいんだ。」
Tはちょっと声を潜めてゆっくり喋った。
店の客は増えていたが不思議と店自身は静かでこういう店に特有のさざめいた音もあまりしない。

「それは法に触れるような仕事につく女性を私に指導して欲しいって事?」

Tは少し大げさに驚いた振りをして目をちょっと大きく開いて
「おお、さすがはYさん。わかってらっしゃる。僕の目には狂いは無かったようだね。そう、これはある客からの依頼でその客は完璧な女性を求めているんだよ。もちろん容姿も教養もだけどSEXもその行為の趣味も完全にして欲しいんだよ。」

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