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Yの記録

第3章 A

4日後、私は中野のあるマンションの前にいた。
あの後、Tに指定された場所だ。時間は午後5時。

私は4時半にはマンションの前についていた。
そのマンションは大久保通りから少し入ったところにあった。
8階建ての古めかしいタイルが張られているマンション。

そのマンションが見える場所で私は身を隠すようにして待っていた。
季節は春とはいえ5時になると寒い。私はコートの襟を立てて、マンションの入り口をじっと見つめながらただ、立っていた。

細めの明るめの色のパンツから寒さが上がってくる。

そのマンションは30分の間、全く出入りが無かった。

5時。

私の携帯が震えた。
知らないアドレスからメールが来ていた。

「呼び出し→1009→402号室に行け。鍵は開いている。」

私はアドレスは教えていなかったはずだ。でもメールが来たということは私の事を知っていたということなのか?
Tが言っていたいきなりではないというのはどこまで私の事を知っているのだろうか?

高圧的な指示に従うのはいやだったが、私はその指示に従い、マンションへと足を向けた。
相手を見極めようとした私の目論みは外れてしまったが、この程度で足を出すようなら秘密なんて守れないのだろう。
私は暗証番号を入力して指示された部屋へと向かった。
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