女剣士のお悩み事情
第2章 追想
しばしの沈黙。私の着ている布の音と、水が滴る音だけが響く。
「・・・・ラルド?どうしたの急に黙って・・・・」
その沈黙がどうしても嫌で、私が先に口火をきった。
「・・・俺って奴は・・・・」
小さくぼやく彼の声は沈んでいた。
「ちょっ、何でそんなにへこんで・・・・」
「お前は怒りを持たないのかよ・・・!処女簡単に奪われたんだぞ」
「頼んだのは私でしょう?貴方は無理に願いを聞いてくれたのよ。むしろ貴方が怒りを持つ方よ」
上着を着ながら、淡々とした口調で言った。だってそうではないか。処女を奪ってくれ、という意味で頼んだのだから。
「イアラ・・・・お前本当にずれてんな・・・。普通嫌だと思うが」
ようやく着替え終わり、会話だけに集中した。
「嫌だなんて思うわけないじゃない。むしろ・・・・いえ、貴方で良かったのよ。ありがとう」
返ってこない返事に、「次ラルド着替えていいわよ」と言って、彼の部屋に戻った。