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紅蓮の月~ゆめや~

第14章 最終話 【薄花桜】 二

 先頭に騎馬武者を乗せた馬が十数頭、更にその後に一人だけ白馬に乗った武将がいた。前後を騎馬武者に守られ、その武将はゆっくりと近づいてくる。小文たち沿道の町人たちは道の両脇に寄り、平伏して一行を迎えた。
 相当に身分の高い武将らしく、白馬はきらきらしく飾り立てられている。乗っている人物も見事な鎧兜をつけていた。威風堂々としたその様は、自ずから人々を威圧するような雰囲気を辺り一面に醸し出している。朱色の陣羽織を着ており、その背には千生り瓢箪の刺繍が鮮やかに金糸で施されている。相当な派手好きのようであった。鎧を被っているので、遠目には表情は判らない。もっとも小文ら民衆は土下座ゆえ、端(はな)から馬上の人をしげしげと窺い見ることはできない。

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