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紅蓮の月~ゆめや~

第14章 最終話 【薄花桜】 二

 それから二十年の星霜を数えた。
 京の都の町中は今日も変わらず賑わいを見せている。
 この前年、太閤秀吉が死んだ。秀吉は養子秀次に関白職を譲った後、太閤と称した。秀吉の死後、豊臣家はわずか六歳の嗣子秀頼が継いだが、関ヶ原の役後、六十余万石の一大名に落とされ、徳川幕府の治世下、一臣下の地位に甘んじた。が、秀頼をはじめ、その生母淀殿は時勢を見ることができなかった。秀頼は二代将軍秀忠の息女千姫を娶ったものの、徳川家に臣下の礼を取ることを拒み続け、ついに文禄・慶長の役で豊臣氏は幕府軍に滅ぼされた。

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