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ライフ オブ ザ マウンテン

第4章 5

だから裕福な家庭で育った連中が憎かったけど、同時に羨ましくもあった。そうゆうのに憧れるのは悪いことなのか、誰でも思うことではないか。人間の自由、そんなものは幻想だと思い知らされる。少なくともここでは。小鳥を見ればどちらが自由でいられているか分かることじゃないか、翼を持てばどこにでも旅たてる。楽園にでも行けるし色々な景色を眺める事もできる、命は人間より短いかもしれないけど、人生を楽しく生きることができる。それだけで十分じゃないか。なのに何で人間は多くを求めるのか、僕はそれが理解できなかった。この醜い両親がそうだ、僕に多くを求め、その上に希望を持つなと言う。話が逸れてしまったが、そうして僕は精神を病み成人になるまで、その家で過ごした。成人になってから僕は両親を殺す計画を立てていた。自由になるための切符は彼らが握っていたから、それを奪えばいい、単純に殺し方は父の銃で撃ち殺す事ぐらいだった。彼らには何も言わせずに殺す事ができた。そして銃声を聞いた隣人のマーサが駆けつけ、
顔色を青く染め、数分沈黙を保っていた。「未練はないよ。だってこの時点になるまで生きていなかったんだから」僕はそう言い、マーサを残して家を出た。外は清々しい気分だった。まるで小鳥のように、翼をばたつかせる仕草をして、歩きだした。いつも家の庭で見ていたから翼の動かし方はわかる。僕は笑いながら名一杯、体を動かし、もっと遠い所へ、知らない辺境の地でも小さな田舎村でも良い、とにかく色んな景色を見たいんだ!「あの可哀想な子犬の分まで見てこよう、そう心に誓ったから」僕はしばらく歩いた後、警察に取り押さえられた。きっとマーサが呼んだんだろう。「やっぱり彼女も両親のような人間だったのだろう。所詮、誰も信用できないのさ。」僕はその後、裁判の判決で有罪を言い渡され、精神病棟に移された。あの惨めな生活を見てきたから、そこでの暮らしは優雅に思えた。この先、何十年経とうとここなら耐えることはできる、なにせ薬を処方してもらえるし、周りは変な連中ばかりだったけど少しはまともに話せるのもいるから、全く悪くなかった。

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