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運命の欠片

第1章 失望

「じゃあ。今から用事あるから。バイバイ〜。」


そんな軽い感じで言う彼女、加賀見佐奈は振り返ることなく早足で、人混みの中に消えていく。鞄から携帯を取り出し、私には見せたことない笑顔で誰かと話していた。


最初はわけが解らなくて、しばらく佇んでいたのだけれど、最近の彼女の発言だったり行動を振り返ってみると、なんやら可笑しかった気がする。
ずっと上の空だし、自分からは連絡とろうとしなかったし。きっと、彼氏あたりが出来て、私のことが鬱陶しくなった辺りか…。

だとしても、いきなりこの侮辱はなんなのだろう。
今更ながら頭に来てメールを呼び出すと、勢い任せで

『どうぞお気の召すままに。こっちこそそんな友達要りません。安心して、二度と連絡しないから!』



と、佐奈宛に送信した。


「はあ…。あんな娘じゃないと思ってたんだけどな。」

送った当初はあんなやつ、気にすることないと思ったものの。時間が立つにすれ虚しくなると言うか…。自分に非はないだろうと思っていたけれど、もしかしたら気が付かないところで…とか考えて意味ないことばかり、頭の中でループする。
気がつけば学生時代からの付き合いで、初めて合った時のこととか、楽しかった思い出とか思い出していた。





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