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歪みの世界

第1章 プロローグ

「それじゃあ、俺行ってくるわ」
「あぁ、行ってらっしゃい」
智貴を見送ると、俺は冷めたクッキーをタッパに入れ、水筒に温かいお茶を注ぐ。
コップは2つ用意。
「さてと、行くか」
少し大きめのエコバッグにタッパと水筒、財布を入れた。
火の元を確認してから、外に出た。用心から、鍵をかけたか確認した。
心の中で俺は、行ってきますと呟いた。
俺は、急ぎ足で公園に向かった。あの人が先に来ているのではないかと思ったからだ。
あの人とは、公園で出会った男の人だ。
智貴には内緒にしている。言ったら、心配するからだ。
公園に着くと、子供と親達で溢れている。
別に、待ち合わせとかはしていないがベンチであの人と会っている。
ふと、ベンチには先客が居た。見た目からは、小学生で高学年ぐらいの男の子だ。
「隣、良いかな?」
「良いですよ、どうぞー」
語尾を伸ばしながら話す。
顔立ちは幼さが残っているが、整っている。
「お兄さん、良い匂いしますねー」
「えっ、あぁ」
エコバッグに入っているタッパを取り出しタッパの蓋を開けた。
「良かったら、食べる?」
「良いんですかー?」
勿論と俺が言うと、嬉しそうに男の子はクッキーを1つ手に取り口に運ぶ。

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