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歪みの世界

第1章 プロローグ

「美味しい」
ポツリと男の子が呟いた。
「お兄さんが作ったんですかー?」
「うん。良かったら、お茶も飲む?」
「はいー」
水筒とコップを取りだし、お茶を注いだ。
「ありがとうございますー。おや、誰かですかー?」
「まぁ、ね」
「彼女ですかー?」
「いや。此処で知り合った人とだよ」
そう言うと男の子に心配そうに見られた。
「お兄さん、その人大丈夫ですかー。初めは、良い人面して相手を油断させ隙をついてって事も考えられるのですよ―」
「そんな事は無いと思うよ」
考えすぎだと思う。
「ですが―」
「あっ、会えば分かるよ」
俺の隣にあの人が座っていた。気付かなかった。
「よっ。青年」
「こんにちは」
あの人はあの人。名前なんて知らない。
あの人は20歳後半くらいで、見た目は女性なら一度は振り向いてしまう程、整っている。男の子もだが、日本人とは違い目の色が綺麗な青色だ。
「おや、お兄さんの…お知り合い、ですかー」
「あ、あぁ。アンタもか?」
何故か二人の会話が不自然なくらい片言になっている。
知り合いだったり。それか、親子は無いな。
「知り合い?」
違うと同時で二人は言った。
「僕は、初めて此処に着たんでその人とは初対面ですよ」
その言葉にあの人は頷く。

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