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歪みの世界

第1章 プロローグ

「どうした、智貴?」
「あ、兄貴は今誰かと付き合ってる?」
付き合ってない事を伝えた。男子校だからではない。
小中と誰とも付き合った事がない。キス処か、手すら握った事がない。
それ以上なんて考えるだけで、顔に火が出そうだ。
「そう言う智貴はどうなんだ?」
「俺?」
「うん」
兄である俺から見ても、智貴は顔が良い。
女の子受けが良い顔だと思う。
「無いよ。興味ないし」
アッサリと言われてしまった。宝の持ち腐れだ。
智貴から女の子と浮いた話は聞いた事がない。俺だけが、聞いた事がないだけで、実際は色んな女の子を取っ替え引っ替えに付き合ってたり。
まぁ、無いかと思い一口、コーヒーを飲んだ。
「でも、良かった。俺のクラスの奴が兄貴の事……」
「本当!?って、男から好かれてもなぁ…」
一瞬、喜んでしまった。
智貴も同じ高校に通っている。
「俺、平均的なんだけど。モテる要素は無いな」
「そんな事無い。俺、兄貴の良い所沢山知ってるし」
「例えば?」
あえて聞いてみた。
「料理が美味い。掃除が得意だったり、整理整頓が上手い」
「他は?」
「後は、優しくて頼もしい時もあるし、守ってあげたくなる様な雰囲気とか」

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