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真っ赤な家庭

第5章 松本 圍




警察も彼女を今だに黒に近いグレーと見ているが、下手に出れないまま忘れかけているが、



俺は彼女が直に殺人や裏で手を廻して人とつるむようなことをする程の馬鹿な女では無いと見ている。



こいつは何もかもご存知の賢い女だ。




一匹狼の俺なんて、殺るには何も残らない。



ただ似た者同士が好きな時間に一緒にいるだけだが、不思議と何でも話せる存在だ。





高級マンションのエントランスで新聞と郵便物を受け取り、借りた鍵でドアを開けたら、天井の高い室内は俺のアパートとは違って開放的で 窓からは雨で雲がおおいかかっているが、夜景が美しい。





勝手にシャワーを浴びては冷蔵庫にあるビールを飲んでいた。



彼女はビールを飲まない、俺の為に用意してくれている。




いつも不思議におもうが、遊ぶ男もつくってはいないようだ。




身体を重ねる相手なら、いくらでもいる筈なのに。





どうしてかは聞かなかった。



ふらっと寄っては会話して、普通の男女と一緒のことをし、ことが終ると帰る。


お互い結婚は望んでいない。



ドライな関係だ。



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