真っ赤な家庭
第5章 松本 圍
なるべく警察内部だと思いたくないが、
林さん、あんたも分かっているだろ、警察が汚いって。
でもどうやら、あんたが思っている以上にキタねぇや。
そっと彼女の頬に手を当てて
「もし俺が死んだら、線香の一つは立ててくれよな。」
「馬鹿ね、
立てないわよ。
圍は大丈夫よ、私がいるんだから。」
「何言ってんだよ、
まさか!バックに大物ついてんのか?」
「そんな訳無いでしょ、圍が一番知ってるじゃない。」
冗談を言っては笑っていた。
彼女が言うとシャレにならない。
笑ったと思うといきなり真顔で
「気をつけてね。」
「ああ、お前もな。」
そう言っては、
内心穏やかではなかった。
彼女は俺の心を読んでいるかのように優しく抱きしめてはキスしてくれた。
こんなに優しいのは初めてだった。
本気で心配する程、俺にも見えない危機が迫っているのが分かる。
正直怖い。