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適当詩

第8章 8

「灯台モトクラシ」

ぴったり並べたシングルベッドは
いつの間にやら隙間があいて
お前がそこで
橋渡し
足がこっち側とは
やってくれるぜ
生意気に

開いた隙間は
地獄の蓋かと邪推して
豆電球に後押し受けて
飛び込んでみたなら
真っ暗い
まるで月夜の
深夜の海で
足もつかずに
溺れちまう

ぶくぶく沈んだ海の底
アンコウの灯に誘われて
ゆったよったと
水掻き分けて
暖簾をくぐれば
いらっしゃいと
喉の廊下を抜けて
案内された
奥座敷

そこで馳走の
酒や肴に
カイジャリスイギョの
マーメイド
ココロモカラダも
とろとろに
どっぷり
胃液につかって
どろりっち

逃げ出す気も失せ
ごろんと前転すりゃあ
三半規管のカタツムリ
びっくらこいて
目眩する

大の字してな
ぐっと拳をつき出せば
御天道様がぴーすする
あんたの負けだよ
神さんよ
ちょきを眺めて
にへらと笑う
しまりねぇツラ見ちまえば
そうだろ
やっぱり
お前も憎めねえな

ヒトリネは
馴れてはならぬ
サミシサに
馴れてはならぬ

枕元には刀を据えて
心は開いて据えておけ

おや
お前がなくしたっていう
大事な
ミニカー
こんなとこから
出てきたぜ


終わり。

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