ヤクザの孫でも純粋です。
第3章 #2
桜がはらはらと舞い散る道をゆっくりと
歩き、大体中間地点に着いた所で
立ち止まり、桜を見る。
「ほんと…綺麗」
ふと視界に入った人影。
人影の方を見ると、明るい茶色の髪を
ワックスで遊ばせ黒いスーツをだらしなく、
来ている長身の男の人。
時が止まったかのようにお互い
体が固まり、ただお互いを見ている。
我に帰った男の人は私に近付いてくる。
距離が離れていたからさっきまでは
同じ身長かと思ったけど…間違い。
170ぐらいはある長身。
足も長くて、顔が整っていて
まるでモデルだ。
「ここで何、してん?」
「えっと、桜を…見てたの」
「桜?
ここは毎年、咲くで」
「毎年?じゃあ、誰かが綺麗に
手入れしているんだね」
私は男の人から視線を桜に移す。
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