ヤクザの孫でも純粋です。
第3章 #2
「なぁ、東京の人?」
「まぁ…」
「越してきたん?」
「今さっき着いて、暇だったから
少し近所歩いて、ここ見つけたの」
「そうなんや」
…。
なんだ、この人は…。
さっきから異様にソワソワして、落ち着きが
ない。
ストーカー?いや。それともナンパ?
ナンパでもありえないか。
私可愛くないし。
とりあえず、声をかけよう。
「なあ」
「あの」
「「…」」
見事に言葉が被り沈黙になる。
男の人は無言で"どうぞ"というように
手で促す。
「いや。そちらがどうぞ」