ヤクザの孫でも純粋です。
第3章 #2
私と泉は目が合うとふふっと頬を
緩ませ微笑み合う。
「なぁ、結女。まだ来たばかりやろ?
学校が始まるまでここら辺
案内したるっ!」
泉は子犬のように目をキラキラと輝かせ
大人な雰囲気とは逆に可愛いらしい
無邪気な子供みたいな笑顔を見せる。
―可愛い。
「なら、お願いしようかな。
でも、今日はもう帰らないと
行けないからまた明日。」
「そうか…。
ほんなら明日の12時に此処で
待ってるさかい」
泉はしょぼくれたけど、直ぐに笑顔に
なって待ち合わせ時間を決める。
「うん。わかった。
12時に此処だね。
じゃあ、またね?朝比奈、くん」
私は微笑み、まだ「泉」って呼ぶには
抵抗があったから、「朝比奈くん」と
呼んで、手を振り泉に背を向け急な坂を
降りていく。
「結女っ!」
泉から呼ばれ泉の方を見る。
「あ、えっと…ま、またなッ!」
「うん。」
泉は手を振る。
私は頷き、坂を降りて、家へと向かう。
泉は何か言いたげな顔をしてたけど
よくわかんなかった。
でも、表情がコロコロ変わるのは
子犬みたいで子供みたいで可愛い。