ヤクザの孫でも純粋です。
第4章 #3
昨日もこの坂道を登ったけど
やっぱりきつい。
坂道を登り終えると、泉の姿が見えた。
―11時50分
ディスプレイの時間を見るとまだ12時に
なっていない。
もしかして早く着いてた?
再び泉の方に目を移すと、桜を見上げ
立っている。
画になる。
泉の茶色のふわふわした髪と綺麗な
顔が桜並木に合っていて綺麗だった。
昨日は黒いスーツで身に纏っていたけど
今日はワインレッドの濃いめのトップスを着て
赤いパーカーに迷彩柄のズボン、スニーカー。
昨日とは雰囲気が代わって、凄い
かっこよく見えた。
私に気付いたのか笑顔を見せ、傍に
置いていた自転車を押してこっちに
向かってくる。
「おはよーさん」
「おはよ。」
私は泉に微笑むと、泉は頬を赤く染め
目をきょろきょろする。
「どうかした?」
首をコクンと傾げ泉を見上げる。
「いいいい、いやッ!
なんでもあらへんッ!」
ブンブンと首を横に勢い良く振り
戸惑う泉。