ヤクザの孫でも純粋です。
第4章 #3
様子がおかしいけど、
きにしないことにしておこう。
「髪、巻いてるん?」
「え?髪?」
私は髪を触り泉は少し俯きがちに
コクコクと頷く。
「クセっ毛だからそう見えるだけ」
「そか。ほな、行こか?」
泉は自転車に乗り私をじーっと見る。
…。
後ろに乗れというのか…。
実を言うと私、自転車乗れません。
後ろの荷台にも乗れません。
てか、乗った事ない。
「結女?」
「え?」
「乗らへんの?」
「えっと…。乗れない、というか…」
泉はきょとんとした顔をして、
何か納得したかのような顔をして、
自転車を降りて、私に近付く。
「朝、比奈くん?」
「泉でいいよ」
そう言うと泉は私を軽々と
お姫様抱っこをして、自転車の荷台に
そっと乗せる。
私が乗ったのを確認して泉も自転車に
乗り私の手を泉のお腹に回す。
「ちゃんと掴んでてー」
泉はペダルを漕ぎ始める。
目の前は坂だからすぐに漕ぐのを止め、
坂を下っていく。
スピードは上がっていくが、なるべく
スピードを出さずにしてくれている。