ヤクザの孫でも純粋です。
第4章 #3
坂を下り終わり自転車を走らせる。
自転車を乗りながら、いろんな場所を
案内してくれた。
公園、幼稚園、小学校、中学校、
お店、スーパー、泉行きつけの駄菓子屋、
園児が歩く散歩コースとかを
教えてくれた。
「結女、次が最後の場所や」
「うん」
暫く自転車を走らせ大きな木が一本と
ベンチが一つだけある丘に到着する。
「到着。」
泉は自転車を降りて、私を降ろし私の
手を取りベンチに歩き出す。
「俺の秘密の場所やから内緒やで?」
泉は人差し指を口に当て、その
人差し指をそのままベンチの方へと指差す。
「わ…。嘘。綺麗」
目の前には日が落ちかけの夕日をバックに
町が見渡せる。
町はオレンジ色をしていて幻想的だった。
「綺麗やろ?
俺、ここめっちゃ好きやねん
なにかあったり、凹んだ時は
ここ来て元気を出すんや」
泉は私をベンチに座るように誘導し
私はベンチに座り、泉は隣に座る。