ヤクザの孫でも純粋です。
第4章 #3
「そ、そっか。」
私は泉から目の前の景色へと目を移す。
私の頬は絶対紅い。
泉が綺麗すぎて、かっこよすぎて
ドキドキしてる。
夕日のお陰で私の顔が紅いのバレない
よね?
「そろそろ、帰ろか?」
泉は立ち上がり、私に手を差し出す。
私は頷き、泉の手を取り立ち上がる。
泉は私の手を離さず、そのまま自転車の
所まで歩く。
辺りは暗くなっていくけど、私と泉は
自転車に乗らずに手を繋いだまま、
泉は手を繋いでいない手で自転車を
押して、私は少し後ろに下がって
泉の手を繋いで歩いている。
―顔紅いのバレないかな?
私、今顔紅いよ。
少し距離が離れてるから
わかんないよね?
会話も無くて、只、自転車のタイヤの
カラカラカラって音だけが夜道を響かせる。