ヤクザの孫でも純粋です。
第5章 #4
『春風の吹く季節―』
学校に着くなり駐輪場に自転車を止める。
体育館では誰かが新入生代表の挨拶を
している。
でも、聞いたことがある声。
『どんな先生から
教わり、―』
静かに体育館の扉を開けて、
先生に席を案内してもらう。
「泉。遅いで。」
「すまん。」
隣に居るのは桐島 葵(キリシマ アオイ)。
幼なじみで馬鹿やってる親友。
そして、葵の隣に居るのは、
「どうせまたお風呂でしょ?」
「やかましいぞ。蘭。」
クスクスと笑う、皆森 蘭(ミナモリ ラン)
こいつも幼なじみや。
「それはそうと、東京から新しい子、
来てるんやてな?
多分あの子やろ」
葵は俺を見て顎で目の前の壇上を
見るように促す。
「暖かい目で見守り、
ご指導くださいますよう
お願い申しあげます。
新入生代表 網島 結女」
―ガタッ
結女の姿を見るなり立ち上がり、パイプ
椅子が倒れ視線は全部俺を見る。
勿論、壇上にいる結女は目を大きく開いて
苦笑をして、壇上を降りる。
結女の苦笑した笑顔を見て、俺は照れて
しまいパイプ椅子を起こして座る。
「知り合いか?」
「ま、まぁ…」
葵の返答に曖昧な返事をする。
そんな事よりはよ入学式終われや。
結女と話したいねんっ!