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「あら、もうクタクタじゃないの！早く帰ってゆっくりしてちょうだい」
シエナは、ミニのロードスターの後部座席にトロイを乗せ、娘を前、息子を後ろに乗せた。
ロードスターの中はトロイにとっては快適で、すぐに
寝てしまったが、しばらくしてからまた起きた。
そこは、豪邸の前で、ロードスターは車庫に入って行くところだった。
実は、トロイの叔父であり、シエナの夫であるジークは、ある会社の社長だった。そのため、シエナたちは
とても金持ちなのだ。
「トロイ、ジェイク、シエル、降りてくれる？先にトロイを部屋に案内してあげて」
トロイたちは、ロードスターを降り、大きな扉の前まで歩いた。扉は木製で、開くと古そうな音がした。
中は、すごく広い。白い螺旋階段に白い壁、大理石の床、玄関のよりは小さいが、大きな木製の扉。天井には
シャンデリアがあり、壁には肖像画が飾られていた。
「うわ〜、すごいな」
トロイが感嘆の声をあげると、シエルが笑った。
「そんなことないわよ。ここがすごいなら、トロイの泊まる部屋は天国ってことかしら？」
「トロイ、ここはこの家の中で1番質素だよ」
ジェイクも言う。
「とにかく着いてきて。案内するわ、ラスボーン邸をね」
シエルは螺旋階段を上がって行く。ジェイクが行け、とトロイに目配せし、トロイも大急ぎで螺旋階段を上った。
2階もまた、とても豪華だった。白い大理石の床に、赤ワイン色の絨毯が敷かれ、シャンデリアがある。