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KURO

第2章 それは突然に







「何ともないわけがない。誰だ、言え」



「だから大丈夫だって…」



案外、しつけぇな。

俺なんて放っておけばいいのに。







「…もしかして、また俺に好意を持っている女がか?」




隼人は、鋭いところをついてくる。



はぁ…

「…だったら何?」



わかってるなら、聞くな。







「まじかよ…。保健室行くか?」


「別に平気。ほっとけば治るし…」



嘘。今、めちゃくちゃ

じんじんしていて痛い。



てか、女って

か弱く見えて、結構強い生き物だよな…。



これからは、考えて行動しないと

ダメだ。



甘くみたら酷い目に合う。






「そっか…。他に何もされてないか?」



隼人は、心配そうに

そう言ってくる。




人をこき使うくせによく言うぜ。

何の風の吹き回しか?





「何もされてないけど、誤解はされた」



「誤解…?」



「あぁ…。男装趣味とか…」



「ふっ、なにそれ」


隼人は、吹き出す。




「俺が聞きてぇよ!挙げ句の果てには、お前の彼女とか言われる始末だし……もう最悪だ」




人生終わったと

言ってもいいくらい。




「お前が俺の彼女…?」



一瞬だけ隼人の口の端が上がる。





「あぁ、そんな噂流されたら俺…生きていけねぇ…男なのに」




ガクッと肩を落とす。




「ふーん。いいじゃん別に。面白そうだし」



隼人は、他人事のように

はははっと笑う。




「はっ!?よくねぇよ!」


完全、コイツ…面白がってる。




そんなのが広まったら

俺、全校生徒の女子が敵になって

殺されるじゃん…。



もう隼人に話しても無駄だ、無駄。








ここは、

得意の現実逃避を始めよう。














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