KURO
第2章 それは突然に
―――……。
ふぅ。
俺は、学校が終わった途端、
隼人を避けるため
ものすごいスピードで走って
家まで着いた。
「たっだいまー」
「あら?はるちゃん、お帰り」
家に入ると、お母さんが笑顔で
出迎えてくれた。
なんか、良いことでもあったのかな?
「お母さん、何かあったの?」
嬉しそうな顔をしているお母さんにそう聞くと
『やっぱりわかる~?』と言ってきた。
「実はね、明日の朝早くからお父さんと二人で1ヶ月くらい海外に旅行に行くことになったのよ!」
ニコニコして言いながら
手には、旅行チケットらしきものが…。
って。
「えっちょ、何で急に!?どういうことだよ!?」
俺は、正直
驚きが隠せない。
そんな急に旅行だなんて言われて
普通でいられる方がおかしい。
「伝えるのが遅すぎたわね…」
ごめんねと謝りながら言う。
「ねぇ…俺は?」
恐る恐る聞いてみるが
「家にお留守番ね!クロちゃんと一緒に」
え?あの、
これは、現実ですか?
もしくは、幻聴が聞こえたとか。
いや、待て俺、落ち着け。
「でも何で急に…?」
「それはね、結婚記念日なのよ♪」
お母さんは、いい年して
『いやん、照れるわ』とか言った。
つーか。
け、結婚記念日なんだ…。
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