
無防備に恋をした僕ら
第1章 僕はひどく欲張りで
逸留が驚いたようにこちらを振り向いて、俺は我にかえる。ぱっと手を離して、逸留とは逆のほうを向く。
「わ、悪いっ…あの、今のは…その」
しどろもどろになる俺を、逸留は後ろから抱きしめた。
「あんなかわいいことしといて、言い訳はないよ」
「っ…!」
「もー決めた。凛、こっち向いて」
素直に顔を逸留のほうに向けたら、間髪入れずに唇を奪われる。
しばらく触れるだけのキスをしたあと、くちとくちを割ってぬるっとしたものが口内に侵入ってきた。
「…っん、はあ…っ」
そのままくるりと身体を正面に向けられ、激しく舌を絡める。
逸留の舌が俺の口内を犯していくたび、俺はひどく泣きたくなった。
それがどうしてかは、わからないけど。
