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まさぐる手

第7章 告白編 二

その年は五月でも蒸し暑かったという。住職は娘の部屋のチャイムを鳴らし、しばし待った。しかし、返事がない。今日は日曜日、はて出掛けたかしらと、もう一度鳴らす。

どうも留守のようだが
せっかくだからと、『もしものときの』合い鍵で中へ入った。

サーサー、キュッ。…ギィッ…

彼がアパートらしい狭い玄関で、靴を脱いでいると、すぐそばでそんな音がした。何とは無しに足元から顔を上げて、そちらの方を見ると…

そこには素っ裸になった娘がいた。お互いに瞬時に状況が把握できないため、見合ったまま一語もない。身動きもなかった。

が、乙女の恥じらいが一瞬早く我に帰させた。

イヤャーー!

奇声を発して娘はバスルームへ駆け込んだ。玄関から入ってすぐに洗面所、バスルーム、トイレが隣り合った場所になっているのだった。

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