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落ちこぼれの救世主

第2章 ~出会い~

「一生帰れないって……大袈裟だなぁ、先生は」

カイはそう声をこぼし、

「来いぃ俺の魔力よぉ」

魔力をひねり出そうと、全身を強ばらせる。

しかし結果は同じで、魔力を出すどころか無駄に汗だけを噴出させてしまうカイ。

「はぁ……はぁ……、こりゃ相当調子が悪いみてぇだな。 てな訳で先生、今日はこれくらいで勘弁してくれ」

額の汗をローブで拭い、なぜかカイは清々しいまでに充実した表情をたたえている。

ディルは、そんな独りで満足するカイを見据え――

「これはファイアーボール以前に、基礎中の基礎から叩き込まんとならんようだな」

そう声をこぼし、ちいさく息をつくのであった。

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