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記憶のカケラ

第3章 勇気

~遼side~

自転車の後ろから弱々しい亜梨紗の声。

俺はゆっくり自転車を止めて、亜梨紗をみた。
やっぱり亜梨紗の目には涙が溜まっていた。
亜梨紗は自転車から降りて俺の制服の裾を掴んだ。
そのまま黙る。
俺は亜梨紗の涙を拭ってやってから自転車を降りる。
背は俺の方が高いけどあまり変わらない。
不安そうに見つめる亜梨紗をぎゅっと抱きしめた。

「心配すんな。俺は亜梨紗から離れていったりしないからさ。」

そういうと安心したのか俺の背中を抱きしめ返して「うん」と頷いた。

「俺はさ、亜梨紗がいやだっていうまでそばにいるよ。」

亜梨紗は俺の言葉に泣きながら、

「いやだなんて言うはずないでしょ?」

そういって笑った。

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