記憶のカケラ
第5章 非日常
亜梨紗はただなにも言わずぼうっとしていた。
「あなたの両親は本州に人を渡したあとあまりにも雨と風がひどくて帰れなかった…。」
「じゃあっ!なんでおじさんとおばさんはまた海に出たんだっ」
俺はやけにでもなったように叫んだ。
いや…実際には叫んでなかったかもしれない。
それすらもわからなかった。
「海に…目の前の海で船が沈没して…その人達を助けるって2人で船をだしたって。」
「そんな…」
2人は人を助けるために船をだした。
そうはわかっていても飲み込めない。
「…お父さんとお母さんはその人達を助けたんだね。」
そう口を開いたのは亜梨紗だった。