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記憶のカケラ

第5章 非日常


しばらくして父さんが帰ってきたから事情を説明した。
父さんは眉間にシワを寄せて聞いていた。
父さんに母さんと杏奈を任せて俺は2階にいった。
手には杏奈の入れた甘いミルクティーを持って。

ノックをする前に聞こえた啜り泣き。
俺にはどうしてやることも出来なくて
待ってることしか出来なくて
苦しいくらいに息が詰まる。
でも俺以上に亜梨紗はそういう思いを抱いてるんだろう。

…おじさん。おばさん。どうか無事でいてくれ―――

俺はただそう祈ることしか出来なかった。

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