記憶のカケラ
第5章 非日常
~亜梨紗Side~
遼は私の気持ちを組んでくれたのかな...。
部屋で一人になった私はさっきの話をもう一度頭の中で再生した。
遭難、人を助けて、まだ、捜索、夕方、朝
いろんな言葉が頭の中をぐるぐる回る。
でもまだどうしても頭ではわかっていても理解できない。
おばさんや杏ちゃんの姿も映像を見ているみたい。
まだわからない。
まだ捜索途中だ。
なにも確信的なものはない。
それでも朝からの不安のかたまりが確信にかえているようだった。
もう2人には会えないような気がしてたまらない。
落ち着いてくると涙がこぼれ落ちた。
「…うっく。」
声にもならない。
それから私はしばらくの間泣きつづけた。